生活習慣病

生活習慣病
生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が密接にその発症・進行に関与する疾患群」、と定義されています。従来「成人病」と呼ばれていた心臓病、脳血管障害、癌に加えて糖尿病、脂質異常症(高脂血症から脂質異常症へと病名が変更されました)と、高尿酸血症、骨粗しょう症、肝臓病などが含まれます。

 

特に脂質異常症、糖尿病、高血圧3つはサイレントキラー(沈黙の殺人者)とも呼ばれ、自覚症状がでにくいため放置される場合が多く、動脈硬化を促進して心臓病、脳血管障害、腎臓病などの原因になります。

最近では、「肥満」特に内臓に脂肪が蓄積した肥満(内臓脂肪型肥満といいます)に脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病が重複して存在する状態はメタボリックシンドローム(代謝症候群)と呼ばれ、動脈硬化が進行して虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)や脳血管障害などを起こし易いといわれています。
 

生活習慣病の対策としては生活習慣を見直し、健康な身体を保持して病気にならないように予防することが第一ですが、発症した後では生活習慣の改善に加えて、各々の病気に対する十分な治療を継続して行うことが重要です。また、生活習慣病の発症には生活習慣以外に遺伝的素因や環境もかかわってきますので、両親や兄弟などに生活習慣病の人がいる場合にはより厳重な注意が必要です。

 

心臓病(虚血性心疾患)

狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患(冠動脈疾患)は、心臓の筋肉(心筋)に血液(酸素と栄養)を供給している冠動脈という血管が、動脈硬化などにより狭くなったり詰まったりした結果、心筋の血液が不足して発症する病気です。

狭心症は冠動脈が狭くなった結果、血液が十分に供給されないため、歩行や運動などに伴って(時には安静時にも)胸の中央、あるいはやや左のところに締めつけられるような痛みを感じます。痛みの持続時間は5-10分程度のことが多く、長くても20分位までです。

心筋梗塞は冠動脈の一部が完全に閉塞し、心筋が部分的に死んでしまう(壊死)病気で、生命も危険な状態になります。症状は突然、今まで経験したことのない激しい胸部痛に襲われ、冷や汗、嘔吐感を催し、15分以上持続します。

 

脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)

脳梗塞は、脳の血管が詰まって、その先の脳の細胞に血液や酸素がいきわたらなくなり障害を起こす病気です。症状は、その障害を受けた場所や大きさによって様々ですが、左右どちらかの手足の麻痺や言語障害、視覚異常、意識の障害、などの症状が突然起こります。脳梗塞はその成因によって、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、脳塞栓などに分かれますが、小渕元首相や長島元監督の脳梗塞の原因は不整脈(心房細動)による心原性脳塞栓と考えられています。

脳出血は、そのほとんどは高血圧症が基盤にあって、脳の深部の細い血管が破綻して脳実質内に出血を起こす、高血圧性脳内出血です。症状は脳梗塞と同様、その部位や大きさに応じて様々な症状が突発して起こります。

くも膜下出血は、たいていは前触れなく、突然の激しい頭痛で発症しますが、実際の発症時の重症度はさまざまで、死亡と重篤な後遺症がそれぞれ1/3ずつで、元気に退院できるのは残りの1/3に限られます。くも膜下出血の90%以上は脳動脈瘤(血管が瘤状に風船のように膨らんだもの)が破裂することによって起こります。

 

肝臓病(脂肪肝)

生活習慣病に含まれる肝臓病には脂肪肝(アルコール性、肥満に伴う非アルコール性)があります。従来、「脂肪肝は進行する病気ではない」と考えられて放置されることが多かったのですが、最近はアルコール性、非アルコール性を問わずに、脂肪肝→肝炎→肝硬変→肝癌へと進行する場合があることが分かり、注意が必要と考えられるようになってきました。

 

最後に、高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、高尿酸血症の診断基準と治療目標値をまとめましたので、自分の数値と比較してみてください。