症状から考えられる代表的な疾患

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症状から考えられる代表的な疾患(赤字が心臓・血管に関連する疾患)
動悸 不整脈、貧血、甲状腺機能亢進症、不安神経症
脈の乱れ 不整脈
息切れ・呼吸困難 心不全、狭心症、心筋梗塞、肺塞栓症、気管支喘息、肺気腫、不安神経症
めまい・ふらつき 不整脈、高血圧、低血圧、脳血管障害、内耳障害
胸痛・胸やけ 狭心症、心筋梗塞、心膜炎、解離性大動脈瘤、肺塞栓症、心臓神経症、胸膜炎、胃炎・胃潰瘍、逆流性食道炎
頭痛 高血圧、脳血管障害、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経痛
肩こり 高血圧、五十肩、頸椎症、頸肩腕症候群
むくみ(浮腫) 心不全、静脈瘤、腎臓病、甲状腺機能低下症、特発性浮腫、薬物性
手足のしびれ 脳血管障害、糖尿病、高血圧、動脈硬化症、頸椎症

不整脈

心臓は規則正しく一定のリズムで拍動しており、健康な成人では日中安静時の正常心拍数は1分間に50-100回と定義されます。リズムに不整がある場合、あるいはリズムは一定でも心拍数がこの範囲を逸脱する場合が不整脈です。不整脈には、治療の必要がない良性のものから生命にかかわり直ちに治療が必要なものまでいろいろな種類がありますから正確な診断が重要です。診断には通常の心電図に加えてホルター心電図や運動負荷心電図が必要になる場合があります。 

高血圧

血圧は心臓から送りだされた血液が血管壁に対して示す圧力ですが、高血圧とはこの圧力が高い状態です。高血圧の90%は原因の明らかでない本態性高血圧、10%が腎臓病や内分泌異常等による二次性高血圧です。高血圧が持続すると全身の動脈硬化が進行していろいろな臓器で血管障害が起こり、脳血管障害、心臓病(心不全、狭心症、心筋梗塞)、腎臓病などを発症します。高血圧の診断は血圧測定によって行われますが、高血圧の心臓への影響を検査するためには心電図や心臓超音波検査が必要です。

狭心症

狭心症は、心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を供給している冠動脈が動脈硬化などによって狭窄して血液が十分流れないために心筋が酸素不足になって発作が起こる病気です。階段を上ったり、急いで歩いたりした時などに起こる労作狭心症が典型的ですが、安静時に発作が生じるタイプの狭心症(安静狭心症)もあります。狭心症の症状は、締めつけられるような、焼けつくような、重いものがのったような、などと表現される前胸部の痛みまたは圧迫感です。発作の持続時間は5-10分間位のことが多く、発作時にはニトログリセリンの舌下投与が有効です。診断は発作時の心電図変化をとらえることで、通常の心電図では診断に必要な発作時の心電図変化をとらえるのが困難なことが多く、ホルター心電図や運動負荷心電図が必要になります。

心筋梗塞

心筋梗塞は冠動脈の一部が完全に閉塞し、血液が全く流れなくなって心筋が部分的に死んでしまう(壊死)病気です。狭心症から進行する場合のほかに、何の前兆もなく突然発症する場合も少なくありません。症状は狭心症に似ていますが、痛みの程度は強く、冷や汗や吐き気を伴うことも多く、15分以上持続します。発作に対するニトログリセリンの効果は不十分です。心筋梗塞は不整脈による突然死やショック、心不全の原因となりますので、できるだけ早く心臓専門病院に入院して治療する必要があります。診断には心電図、心臓超音波検査、血液検査が有用です。

心不全

心不全は心臓のポンプ機能が低下したために、全身に十分な血液を送ることができなくなって起こる症状の総称です。心不全は一つの疾患ではなく、心臓のいろいろな病気(虚血性心疾患、心筋症、弁膜症など)が最終的にいたる症候群を意味します。症状もいろいろで、疲れやすさ、息切れ・呼吸困難、動悸、浮腫などがあります。原因となった病気に対する診断・治療が重要になります。

脳血管障害

脳出血:ほとんどが動脈硬化によってできた微小動脈瘤の破裂が原因で脳内に出血したものです。高血圧を合併していることが多く、血圧のコントロールが悪い場合に起こりやすくなります。脳梗塞:血液のかたまり(血栓)などが脳の血管につまって脳の一部が死んだ状態です。血栓の原因としては、脳の動脈硬化のほかに、心房細動や心筋梗塞など心臓の病気の場合もあります。くも膜下出血:脳の太い血管にできた動脈瘤の破裂によって発症します。後頭部から首すじにかけての激しい頭痛が突然起こり、ほとんどの場合吐き気、嘔吐を伴います。一過性脳虚血発作:脳梗塞と同様な症状がみられますが、症状が数分から数時間、長くても24時間以内に回復する病気です。多くは頚動脈の動脈硬化病巣から血栓がはがれ、細い動脈につまるために起きますが、短時間で溶けるために症状が回復すると考えられています。CTやMRIに加えて、頚動脈の超音波検査が診断に有用です。