2017-05-17
動悸とは、「普通では自覚されない心臓の拍動やその乱れを自覚すること」をいい、日常診療で大変よくみられる症状であり、心臓病や心臓以外の疾患を診断するうえでも非常に重要な症状の一つです。
動悸を感じるのは必ずしも心臓病や不整脈などの病的なときばかりでなく、健常者であっても労作や運動、あるいは精神的ストレスによって頻脈になったとき、血圧が上昇して心機能が亢進したときに動悸を自覚することがあります。また、単に精神的要因だけで動悸を訴える場合も少なくありません。
動悸の強さは心臓病や不整脈などの病気の重症度とは必ずしも一致するとは限りません。軽度の心拍数増加や期外収縮で心臓が飛び跳ねるほど強い動悸を感じたり、生命にかかわる心室頻拍でも全く自覚症がない場合があったりで、感じ方は人によっていろいろで個人差がかなりあります。
動悸の症状
胸が一瞬ドキンとする、ドキドキする
心臓が早く打つ、ゆっくりだが一拍ずつ強く打つ
心臓が一瞬止まるようだ
- 脈がとぶ
動悸の原因
- 心臓に関係ないもの
生理的原因(激しい労作や運動、精神的興奮)、不安神経症、発熱、貧血
甲状腺機能亢進症、肺疾患、低血糖
- 心臓に関係あるもの
不整脈、高血圧症、心不全、心臓弁膜症
すなわち、動悸の原因には全く心配のいらない心因性のものから、直接生命を脅かす重篤な器質的心疾患までいろいろのものが含まれます。動悸の原因を明らかにするためには病院で心電図検査や血液検査などを受けることも必要ですが、動悸の起こり方、自覚症状、脈の様子などは動悸の原因を推測するうえで大変役に立ちますので、動悸を感じたときには下記に挙げた項目に注意して、病院を受診したときに医者に伝えるようにしてください。
動悸を感じたら
- 誘因があるか
- 自覚症状と持続時間
- 突然始まり突然止まるか、あるいは徐々に始まり徐々に止まるか
- 脈拍数はどの位か
- 脈拍の規則性(規則正しいか不規則か)
脈の様子をみるには、普段から脈の測り方を練習して、動悸など異常を感じたときにチェックする習慣をつけておくことが大切です。脈の測り方は、左右どちらかの手のひらを上にして(写真では左の手のひら)、手首と親指の付け根のところを反対側の手の人差し指と中指、薬指の軽く触れて測るのが基本です。そのときに、触れる方の手の親指を反対側に回して手首を支えると測りやすくなります。