2017-05-17
2002年11月に高円宮様がスカッシュの練習中に心室細動で急逝されたことなどから心臓突然死とその予防に関心が集まるようになりました。
心臓突然死は虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、心筋症などの心臓病が原因になりますが、心臓が停止する直接の原因は心室細動という不整脈が大部分です。急性心筋梗塞の致死率は約20%ですが、治療方法の進歩により病院まで到着した症例の院内死亡率は10%以下にまで減少しています。しかし、急性心筋梗塞では梗塞発症後30分-1時間というきわめて早期に心室細動が発生しやすく、急性心筋梗塞による死亡例の60-70%は心室細動による病院外での突然死と考えられています。メドトロニックのAEDトレーニングシステム。AEDは電気ショックの発生源となる本体と人体に装着する電極パッドから構成される。本体は、電源スイッチの他に心電図の解析を行う解析ボタンと電気ショックを与える通電ボタンを備えている。
心室細動に対しては電気的除細動器で心臓に電気ショックを与えて正常なリズムにもどすことが唯一有効な治療手段です。
心室細動では心臓はポンプとしての機能を失うため脳に血液を送ることができなくなり、心室細動発症後5-15秒で意識消失が、4-5分で不可逆的脳障害が起こります。したがって、発症後5分以内に除細動が行われない限り死亡するか、死亡は免れたとしても蘇生後脳症、植物状態など重篤な後遺症が残るため、発生早期の除細動が極めて重要になります。
最近、新聞やテレビなどでAEDということばを見聞きされることがあると思います。AEDとはAutomated External Defibrillatorの頭文字をとった略語で、日本語では「自動体外式除細動器」と呼びます。以前、日本では除細動器の使用は医師にしか認められていませんでしたが、心臓突然死とその予防に対する関心の高まりと、米国でAEDの有効性が実証されたことなどにより、2004年7月からは一般市民の方にも使用が認められるようになり、空港、学校、駅などの公共施設などに広く設置されるようになりました。
是非一度、AEDと心肺蘇生法の講習会に参加されてみてはいかがでしょうか。